「イベントはやっぱり“寿産業”なのか?」
■執筆者 九州地域本部長 福田 博文
■執筆日時 2010年12月17日
イベントは、直接コミュニケーションやダイレクトプロモーションに適しており、日本各地だけでなく世界各地で毎日どこかで何かが行われています。
人を感動させたり、喜ばせたり、何かを考えさせたり、気づきがあったり・・・その効果は誰もが認めているモノです。
しかしながら、九州では2010年は口蹄疫問題で、宮崎県を中心として高校野球や祭りを始め不特定多数が集まる催事がことごとく中止や延期になりました。そのエリアは県を接する熊本県、鹿児島県にも波及し、人が動く・・・モノが動く事を抑制する自体となりました。過去には恐らく新型インフルエンザ発生時や昭和天皇崩御など繰り返されてきた事でもあります。そんな世の中の情勢とは切っても切り離せないと言うことは、それだけイベントが人々の生活と密着していることの裏返しであり、改めて直接コミュニケーションの効果は深いモノがあることを証明した皮肉な結果となりました。
時代がイケイケの時や故郷創生1億円という施策の頃には日本全国で祭りが創られ、あるいはランドマークや美術館、博物館、ホールが造られ、人が行き交い、モノが行き交い、その経済波及効果がもてはやされましたし、イベントに係わる我々も華やかに人々の喜ぶ笑顔が見れたモノでした・・・。
しかしながら、予算がない状況の行政主体の地元催事は、地元ボランティアにて運営し、地元の出演者で、地元だけで楽しむ・・広がらないそんな祭りが増えてしまったようです。
イベントが持つ「課題を解決するための手段」と言うことを担当者は忘れてしまい、担当として引き継いだから前例にならい無事にイベントを継続する、開催する事だけを目的としてしまっているのではないか?と言う気がします。きっと現在はささやかな地方の祭りも元来は地域を活性化するだけでなく、外部へのアピールや人的・物的・文化の交流あるいは人材育成を目指していたのではないのだろうか?そんな色々な事を案じながら、地方博がもてはやされた時期がありました。地方博ほどの大きな催事でなくても、例えば地方では工業団地や港用地、住宅開発地など結構なスペースの空き地を持て余し、その維持費や対策が大変という声も聞きます。であれば、この際、そんなスペースを利用して、イベントシティとして活用するような施策があっても良いのではないでしょうか?物産でも何でも美味しいモノ、お得なモノを集めると人は集まります。人が集まると更に人を呼びます。日本全国に巨大ショッピングモールが出現し商店街が疲弊し、シャッター通り化している・・ならばこの際、そんなスペースを利用して新たな地元のショッピングモールをテスト的に造ってみたら??シャッター通り空き店舗対策をするよりは効果があるのでは?と思いますが、いかがでしょうか?
そんな中で九州ではようやく新幹線が全線開業します。これで九州も移動とエリアにおいて、距離から時間へ人々の価値観が変化すると推察され、これまでの新幹線エリアと同様に人と物の動きが変化します。例えば通学、通勤距離に始まり、買い物やレジャーの移動圏が拡大すると思われます。沿線では、どこの都市も通過点にはならない・・として様々な計画があるようですが、これから3月12日を皮切りに、開業ブームに沸くし、イベントも一時期花盛り???
イベントは寿産業イメージがありますが、実際はもっと生活や地域に根ざした展開が出来るモノであり、経済停滞する時にこそカンフル剤として活用するモノだと信じます。そんな時にこそ、我々の知恵の出しどころですが、何故か?そんな時には声がかからないのが不思議だし、謎だと思うのは私ばかりでしょうか?