10年に1度の国際園芸博覧会『フロリアード2012』-オランダ紀行
■執筆者 JEDIS関西地域本部 間藤 寛太
■概要
開催期間:2012年3月21日02012年9月21日
開催地:オランダ【Holland】フェンロー(ドイツとの国境付近)
オランダのスキポール空港から電車で約2時間の距離にあります。
テーマ:「自然という劇場の一部になって、生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)を高めよう」
会場:総面積66ヘクタール、展示面積40ヘクタール、うち花と植物の屋内展示7,000㎡
来場者: 約205万人。日本国政府出展会場には約60万人の来場
平均滞在時間:7時間
出展:42ヶ国、36機関のパビリオンやガーデンが出展。
レストランおよび軽食所、複数あり。計約4000席。
●日本国政府出展の概要
出展の内容
テーマ:「日本の花を感じようー自然と生きる知恵」
規模:屋内展示会場2階の約250平方メートル
展示内容:期間中に506品種の日本産花きを展示。
チーフデザイナー中山佳巳氏によるテーマ展示のほか、地方自治体や花き関係者等による展示も行われました。
●品種コンテストでは、7品種が1席、4品種が2席、4品種が3席を受賞
展示された日本産花きが、オランダ王国政府代表賞として「フロリアード2012で最も美しい花々」を受賞
日本国政府出展が、「国際園芸家協会 国際コンテスト屋内展示部門 金賞」を受賞
今回、10年に一度オランダで開催される国際園芸博覧会『フロリアード2012』の日本国政府出展のブースの事務員として7月21日から3ヶ月間、初の海外出張へ行きました。そこで体験し感じたことを仕事やプライベート含め、ほんのごく一部ですが書いていこうと思います。
■ブース運営
日本でイベントを実施する時に於いて異なる点が非常に多かったです。
・寄っておいで、見ておいで。
日本国出展ブースではフロリアードで一番こまめに展示の更新やワークショップを開催していました。その甲斐もあって、フロリアード金賞を受賞することができました。
その要因の一つであるワークショップを実施していて気づいたことがありました。日本で何か催事を実施する際、事前に告知し集客した後に開始するのが日本では一般的ですが、オランダでは実際にワークショップを開始し、実演しているところを見てもらうことで集客し、体験してもらう。さらにそれを見て集まるという傾向がありました。初めから集客することが難しく、内容がつまらなければ途中ですぐに退散するなど、ハッキリとした行動が見られました。その他に、実演中に日本の観客は消極的で質問や意見を言えないが、外国の観客は積極的に質問したり、隣まで見に来たりなど、海外ならではの国民性の違いが見受けられました。
・えっっっ!?・・・
今回イベント運営スタッフとして参加して、初めての経験をしました。フロリアードも閉幕まで残り少なくなってきた頃、日本ブースがある建物の中で、盗難が多発しました。他国の出展ブースの大型テレビや事務所のパソコン数台が、度々盗難にあうという事件が頻発しましたのです。それはある朝、ブースの立ち上げに行った時に、隣の国のブースが空っぽになり荒らされた形跡に唖然としながらブースに担当者が駆けつけて来た警察がいるのを見ました。もちろんその建物には監視カメラやセキュリティーもあり、常に巡回している警察犬を連れた警官もいました。日本では到底考えられない光景を目の当たりにして、やっぱりワイルドな海外だと実感した一幕でした。
■本当に高いんです。
まず空港について感じたこと。それは、歩いている人の身長が高い!!私は171cmと高くはないですが、男性のみならず、女性や子供も身長が高い。それもそのはず、世界で一番平均身長が高い国なのです。男性が183cm、女性が172cm、集団に混じると自分の背が低く感じられ、まるで子供になった様な気分になり、少し恥ずかしい気持ちになりました。モデルのような美男美女が多い国でした。
■本当に安いんです。
街によって曜日は異なりますが、毎週指定の曜日に必ず街の中心の広場で開催されるマーケットでは日用品から骨董品、食べ物まで様々なものが非常に安く販売されていました。もちろんスーパーも安いが、日本ではなかなか考えられない値段で売っているので、貧乏な私にとっては幸せな催事でした。どのくらい安いかというと、ラフランスが1kg(8個前後入り)でャ 3.5(約300円)。もちろん、1kgを購入し、一人では食べきれないので事務局みんなで分けて食べ(てい)ました。新鮮でおいしいのに安い。主婦や単身者にとってはもってこいの国オランダでした。
■生活習慣が・・・
なんとオランダのスーパーや洋服店などでは、街によって若干異なりますが、ごく一部の飲食店を除く街全体が17時で一斉に閉店します。例えば、月曜日は21時まで、水曜日は全店休業など統一されていました。賑わっていた街も閉店時間の17時になると一斉に閉店し、出歩く人々の姿がなくなった為、当初は非常に驚きました。なぜならオランダ人には『家族との時間を大切にする』という文化があるからです。カップルはもちろん、老夫婦も手をつないで歩いている光景を多く見かけました。日本では見慣れない光景に日本人の私としてはうらやましくもあり、考えさせられるものがありました。
そんな中、他にも日本とオランダを含めた外国との違いを実感することがありました。日本以外の各国の事務所は毎日18時前後に消灯(終了)するが、日本事務所は必ず夜遅くまで働いていました。そして、日本人だけ朝一番に集団で出勤し、なんとも日本らしいビジネスライフです。そういった日本人を見た周りの国の人達から「日本人はよく働きますね」「いつも何を遅くまでしているの?」など、不思議に思われていたようです。日本では徹夜など当たり前ですが、海外から見ると違うようです。仕事も大切だが、家族やプライベートの時間を大切に持つことの大切さを実感しました。そしてその中で日本人は丁寧で器用でまじめという点が優れているということも再認識できました。
■ドンドン・・・ガヤガヤ・・・
私は街から少し外れのマンションに住んでいましたが、夜になるとどこからともなく音楽が、それも夜中まで続くことが多々ありました。オランダでは街の商店街や公園や川沿いなど、様々なところで音楽フェスティバルをしているのです。しかも、日本では考えられない音量で開催されているのです。実施しているフェスティバルの音楽のジャンルの幅も広く、若い人から大人まで皆が無邪気に騒いでいるのです。オランダでは年間で大小含め何百もの音楽イベントが開催されているほどの音楽大国なのです。音楽好きな私にとっては音が聞こえるとすぐにマンションを飛び出し、色々な人と一緒に盛り上がり、今までに味わったことのない楽しい日々を過ごせました。必ずまた盛り上がりに行きたいと思います。
■綺麗やなー。
街並がどこへ行っても絵になる本当に綺麗な国でした。緑が多く、道路は広く、歩道はすべて煉瓦造り、大阪のようにごみごみとしているところはなく、ゆったりとした環境が整っていました。そして、電線がなく、高い建物が少なく、地形が平坦で山もなく、とても空が広く大きく感じ、空を見上げることが習慣になっていました。
■関西人・・・茶目っ気、気さくなオランダの人々
ここにも関西人がいた!?と思わせるような位、陽気な人たちが多かったです。
街を歩いていても挨拶をしてくれたり、目が合うとウインクしてくれたり、中には日本人の私に道を聞いてくる人も。関西人の私にとっては関西ノリでいくと同様のノリで返ってきたので、心地よく過ごせました。ある時、電車に乗り前の人に乗り換える駅が分からなかったため聞ききました。すると降りる駅に到着する前に「ここで降りてあっちのホームに行って乗り換えるんだよ」と教えてくれ、車両出口まで一緒についてきてくれました。いい人!!その他にも、電車で寝過ごし気づいたときには車庫に入って電車が停まってしまいました。勇気を出し車両の外に出てみると清掃係の兄ちゃんが「Goodmorninig!!」と笑顔。その他にも隣の席に座ると話をしたり、ブラブラしていると声をかけられ一杯だけお酒を飲みに行ったりなど。茶目っ気たっぷり、気さくで陽気、フレンドリーな人たちに多く出会うことができました。
プライベート話が大半になりましたが、オランダのフロリアードという博覧会を通し、たくさんの貴重な経験と多くの人にめぐり逢うことができました。そして、私の人生の大切な想い出となりました。また10年後のオランダで開催されるフロリアードに携われることを願い、目標にし、日々精進して参りたいと思います