「インパクサロン」へのお誘い

■執筆者 小林政則
■執筆日時 2001年12月15日
 
史上最長のインターネット博覧会(インパク)も開幕以来10ヶ月が経過した。開幕時のパビリオン数が約250で、現在が約500だからこの間に倍増したことになる。パビリオンと言ってもリアルイベントと違い、テーマが明確できちんと運営できれば予算規模にかかわらず誰でも出展できるので、個人の出展者も自治体や企業と並んで健闘している。勤務先の企業パビリオンより自分の個人パビリオンの方がアクセスが多いというケースもある。観客の方もインターネットの環境さえあれば、いつでも何処からでもアクセスできるため、自由時間を上手に利用してお気に入りのパビリオンを楽しむシニア層も増えている。反面今もってインパクが開催されていることすら知らない方も多い。あるいは名前は知っていても実際にインパクにアクセスしたことのない方も少なくない。これは政府のインパク事業そのものがインターネットの世界の外で話題になり難いこともあるが、500もあるパビリオンの内容が一般に知られていないのが一番の理由である。インパク協会では夏休みに「インパク公式ガイド」を全国の中学校に寄贈したが、一冊にまとまったガイドブックを手にして始めて、インパクの豊富なコンテンツや面白さに気がついた先生方も多かったことだろう。
 インパク協会では、テーマや内容に特徴のある面白いパビリオンをマスコミ関係者に取材して頂くためのパブリシティ活動を展開してきたが、取り上げてもらえるかどうかの決め手は内容のユニークさとパビリオンに関わる人間の面白みである。ネット上であるからなおさら生身の人間が運営しているパビリオンの背後にある人間模様を知ってこそ、本当の面白みがわかるというものである。このような面白いパビリオン関係者を発見し、お互いに交流を図るためにインパク協会では開幕以来様々な活動を展開してきた。その代表が「インパクサロン」である。もともとは顔を合わせることの少ない出展者同士の交流の場として、インパクに関係する情報交換を目的にスタートしたが、メンバーの提案でインターネット関連技術のセミナーや施設見学会が開催されるようになった。参加者も出展者に限らず、インパクを機にビジネスネットワークを広げようと集まったプロジェクトパートナー各社やその仲間が加わり、毎週のように協会事務所で何かしらのイベントが開かれている。もちろん懇親会のビールが目的のメンバーも多いが、最近ではこの「インパクサロン」が実はリアルな会場を持たない博覧会のリアル会場そのものではないかと思うようになってきた。
 閉幕まであと2ヶ月となった現在、関係者の関心はポストインパクである。インパクは12月31日で終了するが、その後の政府のIT戦略事業の行方や、参加した企業のインパク後の予定など話題は事欠かない。また、新しい技術やコンテンツをプレゼンテーションする場としてインパクサロンに期待しているベンチャー系企業も多い。
 インパク協会はインパクを支援するNPOとして設立され、今後の活動は会員の意思によって決定されるが、仮に組織が解散されても、今回参加されたメンバーの人的なネットワークは継承され、「インパクサロン」の会員は新しいプロジェクト目指して新しい活動を開始することになろう。インターネットや博覧会に関係される方々がこれからこのインパクサロンに参加されることを大歓迎しますので、赤坂アークヒルズのインパク協会に是非遊びにお越しください。