イベントが政治を変える!
■執筆者 山村たけし
■執筆日時 2002年1月15日
政治の世界に入って1年半を迎えようとしています。
一昨年の10月、三重県の片田舎で、小さな小さなイベント会社を経営していた人間がモノの弾みで衆院選の公募候補になってしまい、イベントの世界で培ったノウハウを100%発揮させていただき、昨年の6月めでたく初当選させていただきました。
当選以来やったことは、年末年始と春?夏にかけての2度の全国遊説で47都道府県を走破したこと、そして10月には空爆が始まった翌週にパキスタンに飛び、現地視察に回ったこと等。野党と言うこともあり、国会の外での活動の方が充実していた様に思います。
もっともそれらの活動は全てイベント屋のノリでやってしまったことなので、仕事としては議員になる以前と大差無いと言えます。そのような形で動く議員が他にいないこともありまして、「議員らしくない議員」と言う代名詞を戴くに至っています。
そもそも、全国遊説は、党勢拡大のためのPRキャンペーンですし、パキスタン行きは自分なりに日本の国会議員と言う立場で「国民の命と財産を守るためには何が一番効果的か?」と考えて行動しただけのことです。
パキスタンでは、実務として、UNICEFの現地事務所や「ぺシャワール会」を始めとする日本からのNGOの皆さんの活動の視察、そしてアフガン大使館のシャヒーン副大使との会談等を実施しましたが、個人的な目的は、パキスタンの地で、「『世界平和とアフガン難民支援』を目的とした、文化交流イベントが開催っできないか?」と言うことの模索でした。結論として、「アフガン、パキスタンでのロックのコンサート開くことは、まだ宗教的観点から受け入れ難い」と言う実感を抱きました。
ただ、来年が日・パ国交正常化50周年と言うことが判りまして、日中友好30周年、韓国とのワールドカップ共同開催に合わせた「日韓文化交流年」とアジアの中でアニバーサリーイベントがめじろ押しということもありまして、それらを難民支援と言う共通目的で括り『アジア平和難民支援チャリーティイベント』として再構築できないか?」とを考えています。並行して現実的に、「今やれることから始めよう!」と、党を挙げて「アフガン救援募金」の街頭活動を実施しています。
議員の肩書きを得て、あらゆる活動領域で制約されることが少なくなり、自由に活動できる状況が増えました。「全てが自己責任に帰結する」と言うことはありますが。
「思い立ったらすぐ行動に移せる」と言う権限を活かし今後も「国起こしイベント」に邁進したいと思います。
ただ、周りの永田町も霞ヶ関も創造力をあまり認めない社会です。そう言う点からもイベント業界出身の議員がもっと増えて欲しいと期待しています。
選挙にしろ政治にしろ、内的、外的環境から大生活者のニーズを嗅ぎ取り、理念、政策としてまとめ、あらゆる手段を用い(又は選択)てプレゼンテーションし支持者を増やして行く。正にイベント業務そのものです。「ある目的を達成するために手段として実施する行・催事」を充分に使いこなせる人ならば政治家にもなれれます。そして今の時代永田町はそう言う人材を欲しています。
愛知万博は、「(自然環境を含む)地球市民としての自覚と、自立した市民としての自覚」を日本発の提言とする絶好のチャンスでもあります。イベントに携わるあらゆる皆様の奮闘を期待申し上げます。
(「E&C」2002年1月号掲載)