日本をどう変えるか 「ソーシャルプロジェクト」の重要性
■執筆者 渡辺広之
■執筆日時 2002年5月15日
◎日本社会、地域社会の現状と課題
今、日本の置かれている立場を考えると、政治的には、スキャンダラスであり、経済的パワーも落ちていることは言うまでもありません。又、教育とか、しつけについても日本人はどうしてしまったのか、というぐらいにモラルダウンしています。
日本だけでなく、アジア、世界から日本はどう思われているかを考えると、日本人として恥ずかしい気がします。
いわば、日本は自信を失ない、自分の国と地域をどちらの方向に舵取りしていいのか、わからない状況です。
そんな中、国や地方自治体も住民視点にたった国家経営、地域経営という民間企業がすでに実施している「マーケティング」、「プロモーション」の手法を理解、実践することが要求されていることは周知のとおりです。
◎何故、今、「ソーシャルプロジェクトが大切なのか?」
20世紀における「ソーシャルプロジェクト」といえば、我々イベント業界の人間にとっては、国際博覧会、地方博覧会、国体、全国植樹祭といった大型プロジェクトを主に指していたといえます。片や、21世紀における「ソーシャルプロジェクト」とは、社会を支える基盤となる、例えば、エネルギー、教育、小子高齢化、環境、農業、文化おこしといった社会的テーマを広く国民に理解させる、復興させるといった実践の場がソーシャルプロジェクトと言えるのではないでしょうか?また、今までの日本社会は、ハード整備が最優先で、ソフト整備(ソフトインフラ)が、あまりにも弱少であり、後付けになっていたことも、これからの国や地方にとって大きな課題となると思います。
必ずしも大きなものではなくても国や地域にとって、必要性と緊急度が高い「ソーシャルテーマ」のプロジェクトに取組むはずです。
◎国民(生活者)視点に立った「ソーシャルプロジェクト」
20世紀においては、よく県民参加、市民(国民)参加というキーワードの元、博覧会や数多くのイベントを実践してきました。21世紀になった今、求められているものは、市民(国民)とパートナーシップを組む、というスタンスです。いわば、市民(国民)と協働(コラボレーション)の「場」の中で、プロジェクト運営をするということが、必要なのです。市民はNPO、NGOも含めたグループであるということも言うまでもないでしょう。
今や情報開示、政策評価の尺度の中で国と地域の経営を市民(国民)から求められる時代なのです。
◎「ソーシャルプロジェクト」におけるイベントの必要性
これまで、ソーシャルプロジェクトの重要性を説明させていただきましたが、その数多くのソーシャルテーマの理解、啓発、普及、復興、実践するコミュニケーションの「場」としてイベントという手法は、これまで以上に大事であるといえます。
特に、ITを中心にしたバーチャルな場に持ち得ない、可能性を持ったリアルな体験の場こそがイベントでしょう。このイベントとソーシャルプロジェクトとの接点こそが、必ずや日本社会の原動力となり、誇りの持てる日本、地域を形成するはずです。
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* プロフィール*
1955年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。昭和55年に電通に入社。SP局配属後、昭和59年より科学万博室に移動し、日本政府館作業を担当。昭和61年から地域計画室、都市開発センターを経て、全国各地の地域博覧会、周年事業、テーマパークおよびリゾート開発を数多く手がける。平成8年からは、全国植樹祭、静岡の大型プロジェクト等にも従事。又、2002ワールドカップスタジアムの利活用を始め地域復興につながる課題に対してコンサル、提言も数多く経験。その他、アドバイザー、講師としても活動実践中。