“地方をもっとWaku!Waku!させたい”・・・スポーツの町おこし

■執筆者 副会長 小坂井 彰
■執筆日時 2007年4月16日
 
今日は野球ファンの方々にはおなじみのニューヨークにある「野球の殿堂」
(Hall of Fame)についてのお話から。最近の日本人メジャーリーガーの名前
を挙げてみて・・・といわれたら野茂、長谷川などはちょっと前かな、から
始まってイチロー、城島、松井、田口、井口・・・さらに今シーズンは松坂、     岩村、まだまだたくさんいる、どうやら今シーズンはマイナーリーグもいれ
ると16人もいるらしい。これら日本人選手の活躍により大リーグが大変身近
になり、アメリカの「野球の殿堂」もさらによく知られることになりました。
しかしながら実際に訪ねた人はあまり多くないのではないでしょうか。きっと
場所はニューヨークのマンハッタンの高層ビル群の一角にあるのかと思ってい
る方も多いと思いますが実は広いニューヨーク州の中のクーパーズタウンとい
う田舎町にあるのです。 

クーパーズタウンはニューヨーク市から北西へ約400キロ離れた所にあります。
またニューヨークの州都(ニューヨーク市ではありません)オルバニー(Albany、
人口約10万人)から西へ車で2時間ぐらいのところにあります。つまりオルバニ
ーはニューヨーク市からをほぼ真北に約220kmのところにありクーパーズタウン
はどちらからも離れている、空港もない、電車も通らない田舎町なのです。
さすがにマンハッタンから400キロも離れるとビル群などはなくのどかな田園牧
場風景が続き、心が休まります。癒しの旅行にはお勧めです。
そんなところにある野球の聖地、クーパーズタウンは一体どんな町なのかお伝え
することから始めましょう。

もちろん有名な“National Baseball Hall of Fame and Museum”(野球の殿堂ミ
ュージアム)がある町なのですがはしょってお話しするとクーパー判事という人が
1785年にクーパーズタウンという町を作り1839年に、アメリカ陸軍のダブルデー
将軍がベースをフィールドに埋め込んだ野球場を作った(ダブルデイフィールド)と
いうことらしいです。ベースを埋めたフィールドでボールを使ってプレイするから
ベースボール、野球場はベースボールフィールドと呼ばれるようになったといわけ
です。そして大リーグコミッショナー委員会はアメリカ野球誕生の地であるクーパ
ーズタウンに1939年の野球誕生100周年の一年前である1938年に「野球の殿堂」
を作ったというわけです。

クーパーズタウンへのイメージと歴史的な概略はおつかみいただけたかと・・・
牧場、森林、湖、しゃれたシャッピングストリートとアメリカならではの大自然豊
かな景色とおしゃれな夏のリゾートといった感じです。その町並なのですが驚くべ
きことは町の中にならぶ店はすべて野球関係の記念品や映像などをとりそろえたベ
ースボールブランドで埋め尽くされた店ばかりなのです。まさに囲いのない町民と
避暑客が日々生活している「野球のテーマタウン」といってもよいかもしれません。

でもさらにおどろくべきことがあります。それは“Cooperstown Dreams Park”・・・
子供のための野球場が14(全部芝生です:写真参照)もあり、チームごとに宿泊できる
バンガローもいっぱいあってみんな楽しく夏の野球 トーナメントのイベントに参加
できる子供野球公園です。まさにクーパーズタウンは野球発祥の町、野球ミュージア
ムのある町というだけでなく毎年毎年、少年野球チームとその家族たちが避暑に訪れ
るリピーター囲い込み型の年に 6月から8月までの3ヶ月間しか稼動させない(冬は積
雪になってしまう)  アマチュア少年野球のメッカになっているのです。

ここまでくればお分かりと思いますがこういったことは東京ではできない。 土地、
生活費などの基本インフラが高すぎるところはできないのです。是非  地方の行政
と民間、住民やNPOなどが力をあわせて何のスポーツでもよいからスポーツタウンの
町づくりができないか、そしてお手伝いしたいな・・・とおもいます。

最近、日本のプロスポーツが地域に果たす力は大きい時代になったと感じています。
プロ野球もサッカー(Jリーグ)も地域に根ざした球団が成功し始め  健全なプロリ
ーグ経営の方向に行っています。バスケットボールも地域定着型の企業スポーツを超
えたプロリーグが始まりました。バレーボールも地方巡業が盛んです。冬のスポーツ
も同様に盛んになってきていて、一年中スポーツを楽しめる環境が整い始めました。
ひとつの都市や県で複数のスポーツの球団をうけいれていくことにより野球かサッカ
ーかというようなファンの奪い合いではなく野球もサッカーもバレーもバスケットも
アイスホッケーもその地域の 住民がファンになってリピーターとしてスタジアムや
アリーナで生のプロスポーツを年中楽しめるようになったのです。

スポーツの楽しみ方は「見る」と「する」の二つですが「見る」のなかにはもちろん
優勝争いの楽しみは欠かせませんが勝ち負けを超えた「地域の球団を支援する楽しみ」があるのです。

クーパーズタウンのような子供のためのベースボールフィールド、サッカーフィールド、バレーコート、バスケットコートなどがはやく日本でみられることを願ってやみ
ません。昼寝しかできない、見るだけの公園はもういりません。変えていきましょうう・・・地方から