星空ビジネス
■執筆者 理事 宮地 克昌
■執筆日 2018年 5月 14日
2018年4月16日(月)、株式会社ビクセンが主催する星空ビジネスセミナー(第1部)において、「地方創生のためのイベントプロデュース ~地域資源を有効に活用するためには~」というタイトルで講演させていただきました。このセミナーで星空をテーマにした国内の様々な取り組みについて知ることができましたので紹介します。
鳥取県は、環境省が実施した全国星空継続観察(スターウォッチングネットワーク)において、“星の見えやすさ”で1位に輝くなど、美しい星空が自慢です。鳥取砂丘や名峰大山(だいせん)をはじめ星空写真撮影スポットもたくさんあり、「星取県」と名乗ってブランド戦略を展開しています。
星空をテーマにした地域ブランド戦略で成功している長野県阿智村も全国星空継続観察において、2006(平成18)年に「星の観察に適した場所」で第1位に選ばれました。昼神温泉郷や花桃の里の観光客が減少傾向にあった中で危機感を持って星空ビジネスに力を入れ、着実に実績を上げています。スキー場【ヘブンスそのはら】で日本一の星空ナイトツアーを春から秋にかけて実施しています。10月中旬から11月中旬は雲海や紅葉も楽しむことができます。
西武鉄道も2015(平成27)年の夏から、夜行列車を利用した特別なツアーを実施しています。団体専用の夜行列車で西武秩父駅まで行き、観光バスに乗り換えて三峯神社へ向かいます。夜明け前に三峯神社に到着し、星空と雲海鑑賞を目指すツアーで、女性にも人気です。
国際ダークスカイ協会(IDA、米国アリゾナ州)は2018年04月02日、沖縄県石垣市と竹富町の西表石垣国立公園内を日本初の星空保護区(ダークスカイプレイス)に認定しました。荒涼とした場所ではなく、自然豊かな場所が認定されるのは画期的なことだそうです。
星空を地域資源として磨きをかけ、イベントや体験プログラムによって観光客にコトを提供する取り組みが北海道から沖縄までひろがっています。星空以外にも景観や動植物などの自然資源、歴史や伝統などの文化資源、地場産業による特産品、ホスピタリティのある住民、地域のファンなど、様々な地域資源を地域の経営資源として改めて見直すことが大切です。そして、マーケティング活動をしっかりと行うことで、交流人口を増やし、観光産業を育成することで、若者の定住を促すことができます。
写真提供:株式会社ビクセン