「ニーズ」
■執筆者 JEDIS中国・四国地域本部 竹内健児
■執筆日 2015年11月24日
昨今、円安や国の政策により外国人観光客が年々増えておりますが、昨年観光先進県である沖縄のとある団体の元会長とお話をする機会がありその中でインバウンドに関してお伺いした内容をご紹介したいと思います。
観光特区になっている沖縄、那覇空港を入り口として来られる多くの外国人観光客は沖縄に来ると沖縄料理ではなくラーメンやトンカツ、カレー、ステーキ、お好み焼きなどの日本食を好んで食べるそうです。
何故か?
それは彼らにとっては東京や京都や沖縄だろうがどこに行こうが地方も含めて『日本』だからなのです。
彼らは日本に観光に来たのであって地方がどうのこうのという事は関係ないのです。
食事ひとつとっても、余程の日本通でない限り郷土料理に精通しそれらを好んで食される外国人はいないという事です。
確かに私たちも外国に行けば同じようなものでイタリアに行けばパスタやピザを食べますし、アメリカに行けばハンバーガーやステーキを食べてしまいます。
ハワイに行ってタロイモ等の伝統的郷土料理を食べる人はごく限られた人で、ほとんどの方はワイキキ近くの華やかな料理店で食事をするのではないでしょうか。
見る立場が変われば当たり前の事ですが、灯台下暗しようなお話を聞きました。
しかし今の日本の特に地方はいかがでしょうか?
私が住みます香川県においては地方空港ながら上海線、ソウル線、台北線と海外の3都市に就航し最近では街中で多くのアジア系観光客を目にします。
香川といえば皆さん思い浮かぶのはさぬきうどんだと思いますが味の濃いこってりしたものが好きな彼らが実際うどん屋で食べているのはうどんではなく揚げ物やかつ丼や親子丼なのです。(カレーうどんを食べているのは見かけますが・・・・。)
地方は家電製品や化粧品などだけではなく地方の特産品を売り込もうと必死ですが、はたして本当に外国人観光客のニーズに合っているのでしょうか。
彼らの目にはどう映っているのでしょうか。
いくら良いものでも特産品・工芸品を外国人のニーズに合わせて変化改良して売り込まなければ彼らの心には響かないと思います。
彼らがお金を使う唯一の価値観は、当たり前の事ですが欲しいかどうか(ニーズ)だけです。
観光について講釈をするつもりはありませんがそのお話を聞いたときに当たり前の事ですが商いの根本を再認識させられました。
私事に置き換えると・・・・・。
イベント会社の商品は人(スタッフ)です。
その商品たるイベンターの使命はイベントというコミュニケーションツールを駆使してお客様のニーズに応えることだと考えます。
私は日頃から社内のスタッフにはお客様に創造的で革新的で安全なイベント提案・実施を行う事はもとより、サービス業たる私たちはお客様が実施するイベントで目に見える気遣い、見えない気遣い、両方のサービスが大事だと説いています。
そのためにはスタッフ一人一人がそれぞれの専門性、独自性を発揮し、独立した個々の集合体として組織が強い力を発揮できるようなチームでなければならないと考えています。
綺麗な絵を描くにはいろいろな色が必要です。
時には混ざり合い新しい色を作り、時にはほかの色を際立たせるような、そのような切磋琢磨、協力し合えるチームが提案、実施するイベントこそお客様(クライアントや来場者)のニーズを満たすことが出来るはずです。
お客様の『ニーズ』満足度、感動度が上がりイベントを成功に導けるそんなスタッフ、チームを今後も育てていきたいと思っています。