2001日韓交流祭視察ツアー報告書

2002年3月1日
■活動団体/活動参加者
(旧)研究交流委員会
吾郷 晋、酒井基喜
■開催場所
 
 
 
調査研究委員会から一新してスタートした研究交流委員会では今年度の活動の柱として、2002年のサッカーワールドカップ大会の日韓合同開催に先駆け、唯一のイベント業界団体である我がJEDISが日本代表として韓国のイベント業界と親交を深める目的で「日韓イベント業界親交ツアー(仮称)」を2001年の秋頃に企画しておりました。その事前調査として日韓交流祭(JAPAN-KOREA FESTIVAL)視察旅行を去る2月21日(水)?23日(金)に2泊3日の日程で敢行してまいりました。
 事前調査ということで今回は参加人数を10名までと絞らせていただきましたが、間籐芳樹JEDIS副会長(組織担当)を団長に総勢7名(通訳兼ガイドを含む)にて無事その全日程を終えました。
 今回のツアーを企画した背景としては、昨年の12月、東京ビックサイトで開催された韓日交流祭(KOREA SUPER EXPO 2000)へ何か交流を持つ手立てがないかを探りに行ったことから、後日、これの韓国バージョンがJETROの主催で日韓交流祭(JAPAN-KOREA FESTIVAL)として2001年2月16日?25日の日程で韓国ソウルの展示会場COEXで開催されることを知り、これは好機と視察ツアーとして企画しました。
 さらに元々JEDIS会員であった東急観光㈱の阿部隆彦氏に当委員会のメンバーになっていただき、ツアーを取りまとめていただいたことが縁で、㈱東急エージェンシーの東野雅昭氏を紹介していただき、東野氏が海外総代理店として広報を担当されている「世界陶磁器エキスポ2001大韓民国」の現地組織委員会への表敬訪問をセッティングしていただくに至りました。
 以下、日程順に簡単にご紹介いたします。
    
1日目:2月21日(水)
■成田新東京国際空港、関西国際空港及び福岡空港からそれぞれソウルへ出発。ソウル金浦空港にてメンバーが合流し、専用バスにて「世界陶磁器エキスポ2001大韓民国」の現地組織委員会のある京畿道水原市へ14:00に出発。
■15:20現地到着。予定通り懇談会開始。まず日本から電話でアポイントしていた、事業部の金課長の案内で、予めセッティングされている会議室へ通され、とてもおいしい梅ジュースをいただきながらプロモーションビデオを見せていただき、当博覧会の概要を把握。その後、通訳兼ガイド役の東急観光㈱山下透氏の通訳で懇談が進行。開催半年前ということで組織委員会の方々は多忙を極める中、時間差はありながらも、団地開発部(パビリオン建設担当)金課長そして、行事部(イベント担当)の朴部長にもご参加していただき質疑応答形式を中心とした懇談会となった。
★懇談会内容★
■団地開発部(パビリオン建設担当)金課長が同席された時点でまず間籐芳樹JEDIS副会長からの挨拶
1.我々日本イベント業務管理者協会は日本で唯一のイベント業務の有資格者団体です。
2.我々は何ら営利を目的としているわけではなく、イベントの業務を安全に正しく遂行するために集った極めて公共性の高い団体です。
3.現在までの過去3年間、日本国内で全国規模の交流を行ってきましたが、今後は海外とも意見交換の機会を持ちたいと思っており、今回はその第一弾として韓国を訪れました。
4.今後、サッカーワールドカップ大会を機会に韓日の様々な交流が増えていく中で、我々は両国のイベント分野でお互いが協力し合える事柄について話し合いたいと思っています。
■間籐団長の挨拶を承けて、団地開発部(パビリオン建設担当)金課長より
1.この度は我々の組織委員会に訪ねてきていただきありがとうございました。
2.我が組織委員会は総勢100名でそのうち20名は道の公務員でその他80名は事務職です。
3.この博覧会の予算は韓国政府と京畿道そして各開催都市からの出資で賄われています。
4.企画している世界陶磁器ビエンナーレの参加は70カ国、参加者数は1,000名を数え、作品点数は4,500点となったが、そのうち韓国国内からの出展はわずか500点であり、海外からの出品が多い事に驚いています。
5.昨年の5月からパビリオン建設に着工していて恒久施設となるパビリオンは5月完成予定で仮設のパビリオンは7月に完成予定です。韓国にも四季があり冬の間はコンクリート工事が出来ないため、建築物の外装は昨年のうちに完成し現在、内装工事を行っており、予定通りの進行状況です。
6.当博覧会は京畿道の利川(イチョン)、驪州(ヨジョ)そして広州(クワンジュ)の3箇所に分かれて開催されます。3会場ともそれぞれ展示内容が違うので、全部観ていただきたいです。また、それぞれ広州では前夜祭、利川では開会式、そして驪州で閉会式が行われる予定です。
■ここより質疑応答形式
Q1.日本ではパビリオンを建設する際、建築許可や消防申請当が非常に厳しいですが、
韓国ではどうでしょうか?
A1.法的な問題は韓国でも厳しさは全く同じです。
Q2.前売り券が総売り上げにおいて大きな比重を占めると思われるが発売予定と値段設定は?
A2.3月から前売り券発売開始し1箇所のみの入場は7,000ウォン(約700円)に対して2箇所以上入場する場合は10,000ウォン(約1,000円)で設定予定です。
Q3.世界陶磁器ビエンナーレの入選作品を日本で巡回展示する事は可能ですか?
A3.既にその話は我々のところに来ています。
Q4.会場内で来場者が陶磁器購入や食事などでどの位のお金を使われるか想定していますか?
A4.4人1家族が来場した場合は1日100,000ウォン(約10,000円)位使うという試算を立てています。
Q5.日本では陶磁器に使う土が不足していますが韓国ではどうですか?
A5.韓国でも同じように問題になっていて中国から輸入しているところもあります。
Q6.開催終了後の跡地利用はどのようになっていますか?
A6.閉会後も、恒久施設として各会場とも陶磁器に関わる施設を残し、驪州と広州では陶磁器に関連する何らかのイベントを1年に1回行い、利川では2年に1回世界陶磁器ビエンナーレを開催する予定です。
■ここで行事部(イベント担当)の朴部長が同席され、間籐副会長の手により今回の表敬訪問に際し、平野暁臣JEDIS会長から金鍾民「世界陶磁器EXPO2001大韓民国」組織委員会委員長へ宛てた親書を朴行事部部長へ手渡すというセレモニーが執り行われた。
 
             
   
■その後、当協会の全国規模のネットワークを使って、この博覧会のPRを国内へ発信することと、再びこの博覧会開催中に30名規模の視察団を組織し、当博覧会見学へ来ることを約束し、約1時間30分に及んだ懇談会を終え組織委員会を後にした。
  
■世界陶磁器エキスポ2001 大韓民国 開催概要■
   
● 名称:「世界陶磁器エキスポ2001大韓民国」
     World Ceramic Exposition 2001 Korea
   
● 会期:2001年8月10日から10月28日(80日間)
    〈穏やかな天気が続き、自然景観の最も美しい時期〉

   
● 会場:韓国 京畿道の伝統陶磁産業のベルト地帯(ソウル市の東方地域)
  
○利川メイン会場:雪峰(ソルボン)公園内  
      敷地 約43ha世界陶芸センター5.990㎡、付帯施設20.460㎡
      利川市-〈世界陶磁器エキスポと陶磁ビエンナーレのメイン会場〉
○ 驪州会場:紳勒寺(シンロクサン)観光団地内 
      敷地 約20.460㎡-生活陶磁館 2.830㎡、付帯施設 10.230㎡
      驪州-〈韓国 伝統生活陶磁器のメッカ〉
○ 広州会場:昆池岩(コンジアン)
      敷地 約53ha-朝鮮官窯博物館3.320㎡、付帯施設13.860㎡
      広州-〈世界最高の白磁を生産してきた官窯の中心地〉
  
● 開催テーマ:“土で造る未来”
全世界の陶磁器と陶芸家、そしてそこに集うすべての人がひとつになり、土を通して美しい未来を造る、親善と感動の文化の祭典。

   
● 開催目的: ① 文明史的転換期においての、陶磁文化の役割と未来の再構築。
② 世界陶磁文化の発祥の地東北アジアにおける、陶磁文化の国際交流と再認知。
③ 京畿道の東部地域における、世界的な陶磁産業および複合文化産業の育成。

   
● 主催:京畿道・世界陶磁器エキスポ組織委員会
   
● 後援:大韓民国政府
     IAC(国際陶芸アカデミー)
     NCECA(米国陶磁教育評議会)
     ACerS(米国セラミック協会)
    
● 参加予想:80カ国
    

■17:00ソウルプレジデントホテル着。着替えてロビーに全員集合し明洞にて夕食を食べながら意見交換。その後、東大門を見学。平日の夜中11時を過ぎても活気を失わない韓国の若者パワーに全員圧倒される。

2日目:2月22日(木)
■ 9:00に1階コーヒーラウンジにて全員で朝食。午前中自由行動=唯一の買い物タイム
■ 13:30ホテルロビー集合。地下鉄にて日韓交流祭(JAPAN-KOREA FESTIVAL)会場 のCOEXへ移動。
■ 14:15 COEX到着(所要時間約45分)
■ この日韓交流祭視察に際しては小原良夫JEDIS副会長(研究交流委員会担当)を通じて、当交流祭の制作を担当している、㈱博報堂の現地駐在事業所所長の間宮武美氏と事業カンパニーコンベンション・文化三部の木澤謙氏をご紹介いただき、やはり日本から訪問趣旨を木澤氏に電話で伝え、アポイントをとった。
■ 到着後すぐスタッフオフィスに木澤氏を訪ね、会場内を10分間程度ご説明いただきながら見学し、その後、30分間程度各自自由見学。
● 会場はプロローグゾーン、情報化ゾーン、福祉・高齢化ゾーン、環境ゾーン、生活・文化・物産・観光ゾーンの5つのゾーンニングで構成されていて、見学した感想としては、会場内のディスプレイが非常に簡素でコストで苦労されたであろうことが感じられた。しかし、その分、出展物がかえってクローズアップされる結果となっているような印象があった。その効果かどうか、会場内の現地の観客には若い方が多く、何か活気があり非常に熱心に日本製品そして日本文化に夢中になっているように見受けられた。特に、音楽文化紹介のブースで、日本のアーティストやタレントのプロモーションビデオを放映しているプロジェクターの前には、現地の若い女の子たちが日本でいう「追っかけ」のように群がっていて、「キャーキャー」言っている光景には正直言って一種の感動すら覚えた。韓国の若者の日本文化への関心の高さが伺えた。
■ 15:00懇談会会場となる315室へ移動し懇談会を開始。この日の懇談会は前日の表敬訪問とは違い、韓国で仕事をしている日本企業の方にインタビューする形を取った。
★懇談会内容★
■ 研究リーダー酒井基喜氏より始めの挨拶
1. 本日はお忙しい中、お時間を割いていただきありがとうございます。
2. 我々はイベント業務管理者という資格を持っている者の集まりです。過去3年間、活動してきましたが、今年新たに研究交流委員会に生まれ変わった最初の試みとして韓国のイベント業界と交流を持ちたいという目的を持つに至りました。
3. そんな折、昨年、東京ビックサイトで開催されたKOREA SUPER EXPO 2000に注目したところ今年2月に韓国で日韓交流祭が開かれるということを知り視察ツアーを思い立ちました。しかし、調査してみると企画から制作までのかなりの段階まで日本企業がまとめておられるとのことで、本日は、実際に韓国で仕事をなさって感じられた、日本国内との相違点または類似点などお聞かせいただきたいと思います。

■ 間宮武美現地駐在事業所所長よりこちらの現状について
1. 事の発端は、小渕恵三首相と金大中大統領とで行われた「日韓共同宣言」において2002年のサッカーワールドカップ大会の共同開催の前にお互いもっと理解し合う必要があろうということで企画されたプロジェクトであり3年間の間、日韓両国で開催しようということになりました。
2. 3年前に通産省から㈱博報堂へ基本構想の相談があってから正式な受注は昨年の5月でした。
3. 最初は会場規定と出展者の出展意図が合致しないため苦労しました。
4. 以前行われた新潟物産展を参考にさせていただきました。
5. テーマを決める際に習慣の相違を理解しなければなりませんでした。
6. 1999年6月30日に規制緩和があってから日本企業が韓国のエレショーに出展したり、輸入車モーターショーを開催したりし始めています。
7. 日本の制作会社と提携している現地の会社と現地での指定業者の系列が異なっていて調整が必要でした。
◇吾郷氏: 我々の訪韓の最終目的は韓国のイベント業者の方とコミュニケーションをとる事にありますが、韓国にJEDISのような組織はあるのでしょうか?
◇間宮氏: 今、日韓で色々な交流を図ろうとする動きがあり、我々も広告の分野で現地とコミュニケーションをとろうとした時、韓国広告自律審議機構を紹介されました。韓国は、プレゼンテーションの盛んな国なので、そういったイベントの組織もあるのではないでしょうか?

■ ここで間宮氏は別のアポイントがあり中座、この後は事業カンパニーコンベンション・文化三部の木澤謙氏と質疑応答形式で。
◇中本氏: 会場内が非常にシンプルに構成されている印象を受けましたが・・・?
◇木澤氏: 1. 今回のイベントは日本文化のプロモーションであるので、企業そのもののプロモーションは敢えてしませんでした。
2. そのため、必然的に企業側からの出資が少ないために装飾物の平米単価が下がってしまいました。
3. 告知するにあたり放送局が3局、新聞社が3社に対しプロモーションの供給が多いため、枠がなく、確保するのに苦労しました。

◇吾郷氏: 12月にCOREA SUPPER EXPOを観たが、1.000円の入場料ということもあって年配の来場者が多かったのに対してこちらは無料で、子供達や若者の来場者が多く、活気に溢れていたように思います。
◇木澤氏: ここの会場の下がショッピングモールになっていて、若者が集まる地域なので、若者の入場者が多いようです。
◇藤原氏: 運営オペレーションはどのように構成しましたか?
◇木澤氏: 1. 各ゾーンに日本人のディレクターを立てて、現地スタッフを取りまとめるスタイルをとりました。
2. スタッフの業務分担がはっきりしていて、その範疇でしか仕事をしてくれないです。

◇吾郷氏: 制作物の完成度は高いですか?
◇木澤氏: 1. 日本と同じで、要望すればちゃんと良い物が出来上がるし、何も言わなければ、適当に出来てしまいます。しかし、作り方の相談をすると日本よりも良いアイデアを提供してくれます。
2. COEXの他の展示を見ましたが日本に持ち帰りたいくらい良いデザインや装飾物が多く見受けらました。

◇中本氏: 日韓の習慣の違いから生じる問題点は?
◇木澤氏: 当初、福祉・高齢化ゾーンを計画したが韓国では自分の親の面倒を看るのは当たり前という考え方があり、福祉という概念が受け入れられるか分からないため、健康体験ゾーンに修正しました。
◇吾郷氏: 今回のイベントで現地のイベントをプロデュースする方々との交流はありましたか?又、そういう方々をご紹介いただく事は可能でしょうか?
◇木澤氏: 日本の企業が韓国に出展する際にコーディネーションをした経験のある方に今回も協力してもらい非常に円滑に進行する事が出来ました。日本へも来る機会が多い方なので日本で会える機会があるかもしれません。

■ 以上、懇談会は2時間近くも続きました。長時間ありがとうございました。

       
  
■その後、来たとき同様、地下鉄でホテルへ移動。
■18:00ホテルロビーへ全員集合。明洞で山下氏に連れられ庶民的な店で焼き肉を食べながら意見交換。
■ 20:00参加者のひとりであるJEDIS事務局次長の藤原真氏の提案によりNANTA劇場へ。NANTAによるノンバーバルパフォーマンスを全員で鑑賞。日本人観光客の観客も多く、言葉は分からなくても充分見応えのある公演を堪能しました。
■ NANTA公演内容■
4人の料理人が登場し,厨房で結婚式の料理を作ってゆく過程でなべやフライパンなどを持ってサムルノリを演奏するという内容のノンバーバルパフォーマンス。韓国のサムルノリのリズムをベースとした分かりやすいストーリーとパワフルな演奏は来場していた多くの外国人にも好評で「伝統と交流」を感じさせるものでした。
3日目:2月23日(金)
■各自自由解散。お疲れさまでした。
尚、本文中にもあります通り、当企画の本番「日韓イベント業界親交ツアー(仮称)」を10月頃計画しております。こちらは30名規模を想定していますので、興味のある方は是非ご参加下さい。またこのツアーをどのようなツアーにするかを検討する研究交流委員会分科会を10月開催までに月に1度のペースで開催する予定です。こちらも是非参加してツアー中のイベントをあれこれご提案いただければ幸いです。よろしくお願いします。
日韓交流祭視察旅行参加者リスト
団長  間籐芳樹 940137 (株)マッシュ 代表取締役
  中本 亨 950017 (株) NHK北海道ビジョン 企画制作センター長
  酒井基喜 950075 (株) テン 取締役
  福田博文 950018 (株)キャン・ドゥ 代表取締役
  吾郷 晋 940202 (株)フジアール イベント制作課主事
  藤原 真 940232 (財)日本科学技術振興財団 カルチャーエンジニアリング事業部副主任